当社の点字製品のこだわり

吉田工芸の点字案内板製作は特許を取得した独自の金型によるNCプレス製法に特徴があります。
ノウハウに基づいた独自の発想により丁寧につくられた、触れる人の身になった製品です。

点字製品は本来なら目の不自由な方にとってベストな製品であるべきと考えます。しかし現実は、設置面積や設置形状などのさまざまな制約により、すべての面で目の不自由な方にとってベストな点字製品という物はなかなか存在しません。それならば当社でできることは、せめて点字部分だけでもベストな製品を作り普及させることだと考えております。
また、設置される方の立場になって考えた場合、納期やご予算や合理性も確かに理解できますが、できるかぎり後々クレームになりにくい製品を設置すべきではないかと常々思っております。

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■プレス点字の打ち出し方について

1,丸々と立体感があり、くっきりとしています。
当社の得意技はNC機械のプレスによる点字製作です。当社のプレス製法の優位点は点の形状のクオリティにあります。独自の技術(特許)により1点1点ぶらさずしっかりと立体的に打ち出しています。規格範囲内で隆起が高くクッキリ判別しやすい点字を心がけております。しかもNC入力によりピッチに狂いがなく、均一の品質で読みやすい点字です。この作業はたとえNCで行うとは言え、わずかな違いを見逃さぬ感覚とそれに対応する調整技術が必要です。雑・適当・慣れは御法度で、集中して良い点字製品をつくるべきと考えております。

2,指あたりがとてもなめらかです。
これは一般にUVインクによる版刷りの点字に多い傾向ですが、たとえプレス製でも無神経に粗っぽく打ち出されれた点字はけっこう多いものです。そもそもプレス工程というものは素材を無理に変形させて歪ませていることになりますのでクラック等が生じやすいものです。平板にプレス機で打点する場合、なめらかな半球面状の点を浮き立たせるにはノウハウと丁寧さが欠かせません。ところが、巷のプレス製点字製品を触ってみますと、指先の皮膚にザラッと引っ掛かるような、触り心地の悪い点字案内板が意外と多いもので、これでは触れる人の身になって作られているとは到底言えません。当社では経験豊富な熟練の工場長自身がきちんと調整した独自の金型とプレス環境により、点字の球面のなめらかさにも気を使って丁寧に製作しております。

3,へこみなどに強く、耐久性があります。
点字は1点あるとないとで意味が変わってしまいますので、変形してしまわないように高い耐久性が必要です。残念ながら悪戯などにさらされることが多いのが点字案内板の現状ですが、削れたUVインク製点字やへこんだプレス製点字では本来の大事な役目を担えません。


■UV樹脂点字について

透明UV樹脂インクによるシルク版刷りの点字も承ります。
読判性や、耐久性、耐水性(雨に弱いです)ではプレス製品に劣るものの、UV樹脂製ならではの利点もあります。なめらかな樹脂なので触り心地が良く、透明であるため図や絵などの上に重ねた施工が可能であり、ラインや図記号など(つまり壁面や便器など)を立体として表現できるため、屋内の案内板に向いています。駅の構内案内図や、トイレ案内図などはこのタイプが多いです。

壁を盛り上げて表現できるため建物の案内図に採用されます。

触知案内図用に定められた図記号を立体に表示できます。写真は凡例部分です。

透明なので健常者用案内の上に重ねて、点字の独自の情報を案内可能です。

読判性ではプレスに劣るとは書きましたがそれは一般的な他社製品によく見受けられる話です。それらは、点の立体的な高さが低すぎる製品が多く、また半球に近い形であるべき点の形状がいびつな製品がとても多いと実感しております。
当社のUV樹脂点字は読判性にも気を配って製作しております。JIS準拠に則り、指先に判りやすい点の高さをきちんと実現すると同時に、プレス点字同様に点の半球の立体形状にはこだわって製作しておりますので、安心してご用命いただければと思います。

もしも「UV樹脂の手触りはべたつき感がある」とお思いでしたらそれは完全に硬化させていないUV樹脂を触っていることになります。原因としてはUVランプの非力さや不適正が考えられます。きちんと完全に硬化したUV樹脂はつるっとした硬質な手触りになるはずです。
当社の場合、UV樹脂を硬化させる紫外線照射器に非常に強力な専用UVランプを使用しております。このランプは英国製の特注品です。これにより一瞬にして完全に硬くかつ均一にUV樹脂を硬化させることができます。これはとても優位的なことでありまして、UVランプの能力によるUV樹脂のクオリティの差は、人のノウハウや腕前ではどうしても埋めがたい部分であると思います。当社のランプ仕様は企業秘密でございますがUV樹脂の硬化特性に特化させた物であり、現在主流になりつつあるメタハラや最新のLEDを以てしても代用はできない性能であると断言します。(なぜそのようなことが言えるのかと申しますと、メタハラもLEDも試したことがあるからでございます)

ただし、UV樹脂製品には大きさ・厚さなどに制約がございます。紫外線照射器のベルトコンベアを通すことができるサイズであれば製作可能です。詳しくはご相談ください。


UVインクジェットによる点字出力は当社ではおすすめしません。点字のクオリティが大変低く、しかも耐久性が非常に短期間である為、恐らく、出来上がった製品にご不満を感じられるだろうと確信します。承ることは可能です。


■素材について

1.薄板やシート状の場合

現在一般的なのは、
・金属板では、アルミ(アルマイト)、ステンレス t0.8mm程度が主流
・樹脂板では、ポリカーボネートシート t0.18〜0.2mm
が主流です。
いずれも薄板に対しプレスを中心とした方法がとられます。
特にポリカーボネートは強度も高く、手摺やシール状に加工するには最適です。
通常、他社では樹脂板の場合UV樹脂の点字を表面に付ける方法が一般的ですが、耐久性が弱いため1点でも剥離したら意味が変わってしまう点字においてはリスクが高く責任が問われる結果を招きかねません。当社ではポリカーボネートへも独自の特殊プレス加工を得意としており、例として大手私鉄の樹脂製の手摺に多く採用されております。凹み防止加工を施し耐久性が高く、剥離の心配も無い製品です。
なおポリカーボネートシートの場合は裏面印刷が可能であり、さらに粘着シートを裏貼りして使用することがほとんどです。粘着シートで貼り付けて固定するためです。最終的にはt0.5程度の厚みとなることが多いですが、手摺のような円筒型への柔軟性は充分にあります。(球面など3D的な凹凸立体面への柔軟性は全くありません)

2.厚板の場合

金属の厚板にはもはや加工不可能ですので、通常は樹脂素材パネルへのUV点字加工となります。

樹脂素材としてはアクリルがあります。アクリルは看板などによく用いられますから、裏刷りされたアクリルパネルの表面に点字をというご依頼も大変多く頂きます。この場合、アクリル厚板に対しUV樹脂にて点字を「シルクスクリーン印字」する方法がとられます。UV樹脂の点字の利点は透明であるため、アクリル自体の透明度を邪魔せず、下にあるカラー図の邪魔もせず、大きな面積にも加工できる点です。看板や大きな案内図の表面には最適です。駅構内図や公共施設の案内図などでは今最も多い仕様です。アクリル自体は硬質で歪みに弱く非常に割れやすい性質であるため、薄板へのプレス加工は不可能です。

その他には、アクリル以外の素材の薄板に加工を施し、設置時にアクリルの厚板を裏板として充てて厚いパネル状にする方法もあります。印刷は塩ビ薄板にインクジェット表刷りもしくはインクジェット表貼りなどの製法が多いです。この場合の点字加工は、UVはもちろんですが、条件によりプレスが可能な場合もあります。

3.この他には

これら以外の素材については殆ど用いられることはなく、点字触知案内板に不向きというより、銘板製品として不適である場合がほとんどです。またペット材は印刷およびプレス共に加工しにくく不適な部類に入ります。

UV樹脂の点字はシルクスクリーン印刷する方法をとると先述しましたが、現在はUV樹脂の厚盛り印刷が可能な最新のインクジェットプリンターも存在します。対応できないわけではございませんのでご相談ください。ただし、印刷時間は大変遅く長くかかり、使用するUVインクのコストは大方のご想像を超えて非常に高額です。そして点字の形状の面でもシルクスクリーンで可能な品質には及んでおりません。正直なところお勧めできる状況であるとは申し上げかねます。
結局、シルクスクリーンを使用する理由は、時間・費用・品質の面でお客様にとって大幅に有益であるからでございます。

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